ケラリーノさん「清志郎さんのこと。」
http://blog.livedoor.jp/keralino/archives/65254935.html
>忌野清志郎さんの訃報を聞いて、多くの方々同様に、大変なショックを受けている。
緒川さんもだ。ちなみに俺は奥さんのことを緒川さんと呼んでいる。

80年代の後半から90年代初頭に、清志郎さんと一緒のステージに立って歌わせてもらったことが、二度か三度あるが、そしてどれも、複数のバンドが参加する大規模なイベントのフィナーレだったから、ステージ上には溢れんばかりの人間がいたわけだが、あの人の存在感は圧倒的で、皆が清志郎さんを囲んでいるような印象に、自然になってしまっていた。

92年に秋元康氏のプロデュース、堤幸彦氏の演出でオンエアされた「忌野清志郎アワー」というテレビ特番では、ウチの劇団員が大挙して清志郎さんとコントを演じた。

03年に公開された俺の初監督映画「1980」に清志郎さんが中途半端な感じで出演してくれている。これは、撮影当日までまったく予定していなかったことで、及川ミッチーとの学祭イベントを終えた清志郎さんが、自転車に乗って現場にやって来て、「通行人でいいから出たい」と言ってくれたからだが、あんな目立つ人を通行人なんかで出してしまったら観客は気になって仕方ないだろうから、慌てて役を作ったのだった。

仕事上でご一緒させてもらったのはそれぐらいだ。

それより、単なる一オーディエンスとして、高校時代に通った渋谷屋根裏での2DAYSライブ、同じく4DAYSライブ、ライブ盤になった久保講堂のコンサート、「トランジスタ・ラジオ」を「新曲です」と紹介した日比谷野音、シーナ&ザ・ロケッツとプラスチックスと3バンドで開催された「ポップンロール300%」とかなんとかいうタイトルの武道館でのジョイントコンサート、そして1980年の秋のいくつかの学祭でのステージ。

あの頃のRCサクセションから受けた感銘は筆舌に尽くしがたい。

結果的に俺はロックンロールやブルースに捧げるような人生を選ばなかったけれど、そして選ばなくて良かったけれど、マイクを振り回しながら歌っている清志郎さんを観ていると、あるいはその隣で腰を屈め、目をつむってギターをストロークする仲井戸さんを観ていると、到底ガラじゃないのに、「うん、たしかにロックンロールこそ最高だ」と思えてしまいそうになるティーンエイジャーの俺がいたわけで、後にも先にも、心からそんな風に思えたのはRCに心酔していた数年間だけだった。

有頂天が、ニューウェイヴだテクノだと言いながらも、無機質な音楽をやるグループではなく、パッショネイティブなバンドであり続けたことには、もちろんパンクの影響も大きいが、RCの存在も意識されていたに違いない。

こんな時に傲慢な言い分に聞こえるかもしれないが、ある時期から「スローバラード」が、かつて程の切実さを感じさせてくれなくなったような気がして、俺はRCサクセションのライブに通うのをやめた。

コアなファンなら周知の通り、RCには「暗黒期」と呼ばれる低迷期がある。

シングル「スローバラード」と、同曲を含むアルバム「シングルマン」が売れ行き不振の為に瞬く間に廃盤になる中、続くシングル「わかってもらえるさ」をリリースしようとしていた、1976年、まさに「暗黒期真っ只中」のライブ映像がYouTubeに上がっている。

この中で歌われる「スローバラード」や「わかってもらえるさ」や「九月になったのに」や「まぼろし」における、25歳の「わかってもらえないバンドマン」の悲痛な叫びは、心底胸に迫るものだ。

6年後のライブ映像を観ると、編成やアレンジやビジュアルの変化より、徹底的な抑圧から解放された人間の躍動感が大きな魅力になっているのがわかる。

清志郎さんは、あの時期、ついにわかってもらえたのだ。わかってもらえた人間の威力はすごい。

ただ、わかってもらえた代わりに手放さざるを得なかったものもあったはずだ。

とは言え、もしあのままわかってもらえてなかったらと考えるとゾッとする。

あまり頭を整理できぬまま書いているので、あれだが、つまり、だから、清志郎さんの人生はとてもとても幸せだったと思う。

なにしろわかってもらえたのだから。
これ以上ないだろうというぐらいに。

清志郎さん、どうか、安らかになんか眠らずに、ずっと、歌い続けていってください。
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by POP_ID | 2009-05-03 12:26 | '00sあたり | Trackback | Comments(0)
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