茂木 健一郎/精神の残り火
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2009/05/post-0edc.html
(茂木 健一郎さん公式ブログ「クオリア日記」より転載)

>軽井沢へ。

駅から歩いて、大きな貯水池にかかる
橋を渡ると、そこが大賀ホール 
だった。

大賀典雄さんの寄贈による、五角形の
空間。

少し、ベルフィン・フィルハーモニーの
本拠地「フィルハーモニー」を思わせる
ところがあって、全体的に木質で
温かい。

大賀典雄さん御自身が指揮をして、
東京フィルハーモニーが
ハイドンの交響曲100番「軍隊」、
チャイコフスキーの交響曲5番を
演奏する。

大賀さんの奥様の緑さんのとなりで
聴く。
後ろの席には、前日にコンサートを
開いた渡辺貞夫さんがいらした。

温かさ、というものに包まれた時間だった。

大賀典雄さんを気遣う緑さんのご様子。
音楽を愛し、オーケストラのメンバーを
愛する大賀典雄さんの姿。

曲目を演奏後、何度もオーケストラのメンバー
と握手を交わす大賀さん。

カーテンコールが終わり、
楽屋にお訪ねした。

指揮を終えた大賀さんは、
握手をすると熱を帯びているのが
感じられて、
さっきまでの音楽の、精神の残り火が
燃えているかのようだった。

そもそも、芸術というものは、
「愛する」ということを貫く、
大きく育むということではなかったか。

ただひたすら自分が大切だと思うものを
愛すること。
そのような時間を、この浮き沈みの
大きな人生の中でいかに多く持つことが
できるかということで、その人の
心のかたちのようなものが決まって
くるのではないかと考える。

そのような理想の一つの典型を、
大賀典雄さんに見た。

余韻に浸りながら、
いっしょに取材に訪れた
「家庭画報」 
の方々とプリンス・ホテルへ。

食事を終えて、
部屋に戻り、ネットにつなげて知る。

忌野清志郎さんが亡くなった。

しばらくyoutubeで清志郎さんの
ライブの映像を見る。

フロント横のスペースにあった
水と缶コーヒーとヤクルトジョアを
求めて部屋に戻る。

廊下で、同行の写真家、阿部稔哉さんが、
「茂木さん、忌野さんが亡くなりましたよ。」
と声をかけてくる。

「若すぎたよね」

「残念です。」

表現者は、いいわけをしてはいけない。
しかし、どんな思いで、心を込めて、
そして勇気をもって表現しているか
ということは、必ず伝わるはずだ。

そして、根底には、愛がなければならない。
自由がなければいけない。
勇気がなければならない。
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by POP_ID | 2009-05-03 12:52 | '00sあたり | Trackback | Comments(2)
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Commented by めいこ at 2009-05-05 09:45 x
はじめまして。
大賀ホール、すばらしい音環境だと聞いています。
二日間コンサートを聞かれたのでしょうか?
渡辺貞夫さんのファンで、聞きに行きたかったのですが・・・遠くて。。。
よろしければ、貞夫さんのコンサートの様子・乾燥を教えていただければ幸いです。
Commented by POP_ID at 2009-05-05 12:54
めいこ様
はじめまして。
大変申し訳ありません。この記事は茂木さんのブログからの
転載で、私の文章ではございません。
忌野清志郎さんの逝去に関する文章を集めており、
そのひとつとさせていただいだ次第です。
謹んでお詫び申し上げます。
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