佐野元春インタビュー。
人生の初歩的な学習は、昔も今も同じ 佐野元春さん

 1980年の登場からずっと日本ポップス界の最前線をひた走る佐野元春さんをGET!デビュー曲「アンジェリーナ」以来、都会の若者を歌い続けてきた彼が4年半ぶりにリリースした新譜「THESUN」は、30代以降が歌物語の主人公。その変化の秘密を、オーラあふれる彼の語録に見いだして!

―新譜。コンセプトアルバムの色合いが強い。
佐野:そう。制作に要した時間は4年。この間、僕の周辺が大きく変わり、21世紀に入ったらさまざまな事件も起きた。その1つひとつの事柄に対する思いがアルバムに結集されたと思います。


―まさに「時代」を映す1枚。時代をどう認識?
佐野:僕自身、それに僕がかかわるコミュニティーは、いかに生き延びるべきか。そんな生存にかかわるイシュー(争点)をかつてなく真剣に考えさせる時代ですね。ブラウン管では毎日、人の命がゲームのように奪われていく。「生きる」とは何なのか。その問い直しがいろんな世代や社会、国、文化圏…で行われ始めてきたと思う。

―収録曲の登場人物が多彩です。不況にあえぐサラリーマン、バツイチで子どもを抱える女性…。
佐野:今回書いたのは「僕はこう思う」「僕はハッピー」という自分の歌でなく、僕が観察した人たちの物語。それを14編収録した。小説や映画を作るように。心掛けたのは、聴き手の性別、世代別を問わず、物語から何かを感じてもらえるような曲作り。しかも、いろんな解釈が出来るような。


―1980年に「アンジェリーナ」でデビューして四半世紀近く。ずっとメッセージを送り続ける。

佐野:当初、物語の主人公は10代や20前半の、人生に余裕のある世代の日常だった。「サムデイ」「スターダストキッズ」…がそう。曲に込めたのは「つまらない大人にはなりたくない」という大人への反抗。ただロックンロールとは「成長」について言及する音楽。だから今回は成長する、成熟することがどんなことか考えたかった。

―メッセージの発信先が世代を超えているから、歌はいずれも普遍性を増して響いてくる感じ。
佐野:それはとてもいい評価。うれしいですね。この4年間、同時代の表現者たちの動きが気になったんです。彼らが一体何を考え、どういう声を発しているのか。例えば小説家や現代美術作家。音楽に関心のない人たちは「たかが流行歌だろ」と思うかもしれないけど、音楽と肉声、全身を使って表現する僕らのポップ音楽とロックンロールは決して彼らに劣ってはいないと思いますね。

―佐野さんが10代を過ごした当時と、今の10代が過ごしている現代。相違点と共通点は?
佐野:確かに今の10代は僕らの時代より、大きなプレッシャーとストレスのもとに生きている。でも、それは環境的な違い。では「成長する」という点に関してはどうか。誰かを傷つけ、傷つけられ、誰かを愛し、愛される。他者とのかかわりを学習し、自分はどうあるべきか。人生の初歩的な学習は、昔も今も変わりませんから。
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by POP_ID | 2004-12-21 02:41 | '00sあたり | Trackback | Comments(0)
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