「キヨシローからの伝言」萩原健太
「キヨシローからの伝言」萩原健太

2009年5月。忘れられない悲しい日。
訃報を受けてすぐぼくが思い浮かべたのは、頭にヒッピーふうのハチマキを巻き、
生ギター2本とウッド・ベースというシンプルな編成のアコースティック・トリオ、RCサクセションを率いて、
独特の絞り出すような歌声を聞かせていた70年代初頭の忌野清志郎の姿だった。
ご存じの通り、やがて彼の頭からはハチマキが消え、髪はつんつんに立てられ、顔にはド派手なメイクがほどこされ、
バックで奏でられる楽器も生楽器からエレクトリックに変わり…。RCサクセションは日本のロック・シーンを征していった。絶頂を極めた。
けれども、彼はRCというひとつの枠にとどまることなく、外に向けて積極的な活動を続けた。
まるで安定することから必死に逃れようとするかのごとく。泉谷しげる、坂本龍一、どくとる梅津バンド、矢野顕子、
ジョニー・ルイス&チャー、三宅伸治、坂本冬美、細野晴臣、TOKIO、ブロックヘッズ、ブッカー・T&MGズなど。
多彩なミュージシャンたちと共演することで、自らの内に燃え上がるテンションをより緊張感に満ちたコンビネーションのもとで爆発させ続けてきた。
とはいえ、彼が放つメッセージは、生楽器の響きに彩られながらも、
とびきりソウルフルな叫びとロック的な躍動を存分にたたえた歌声を聞かせていた70年代初頭から何ひとつ変わらなかった。
彼がいつもステージからぼくたちに向けてダイレクトに放っていた最高にいかした“思い”に貫かれていた。
「愛してるぜ!」
没後、なぜか反核・反原発のヒーローとして語られたりもする。
大手放送局などに真っ向から楯突くアンチ権威のカリスマと思われているフシもある。が、それらとてすべて彼の雄大な魅力の一局面に過ぎない。
病に冒されていることを公表する少し前の時期にリリースされたアルバム『GOD』の収録曲「愛と平和」のリフレインを耳にするたび、
この人を失ったことがどれだけ大きかったか、ぼくはいつも思い知るのだ。
“愛してるって僕は まだ まだ 言い足りないんだ…” ぼくたちもその思いをまだまだ、もっともっと、受け止め続けたかった。
5月7日、そんな清志郎さんからのメッセージを改めて噛みしめる夜にできれば、と願っている。(萩原健太)

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by POP_ID | 2016-03-20 01:56 | neo10'sあたり | Trackback | Comments(0)
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